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第32期・第2回例会は、地方活性化の第一人者である石山恒貴氏をお呼びすることができました。石山氏は「地域とゆるくつながろう」という、いわゆる「サードプレイス」による関係人口創出を唱えています。そして、同時に、人生100年時代の、リスキリングや学び続ける場として、「越境学習」の必要性を切に訴えています。 |
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石山氏は「地域とゆるくつながろう!」(静岡新聞社)の中で、こう語っています。
『地域への柔軟な関わり方として、大事な考え方が「サードプレイス」です。 サードプレイスとは、レイ・オルデンバーグが提唱した考え方です。 その考え方とは、家庭(第1の場)でも職場(第 2の場)でもない第3の場所に注目しよう、ということです。 第3の場所とは、イギリスのパブやフランスのカフェのように、とびきり居心地が良く、まったりとした時間を過ごせる場所を意味しています。 サードプレイスには、中立性、社会的平等性の担保、会話が中心に存在すること、利便性があること、常連の存在、目立たないこと、遊び心があること、もうひとつのわが家、という8つの特徴があるとされています。 つまり、サードプレイスとは、人々が気軽に集まり交流できる、憩いのある楽しい場なのです。 ただ、同時に多様で異質な人々が、自分の社会的立場を気にせず、交流できる場でもあります。 実は、このような特徴があるからこそ、サードプレイスは地域の中でゆるくつながる場として適しているわけです。』
『地域のサードプレイスにおいて設定される目的は、地縁コミュニティと同様に地域にとって重要です。 しかし同時に、 地域のサードプレイスは自発的に参加するものであって、出入り自由なのです。 このような気軽さが、地域とゆるくつながるためのポイントになってくるわけです。 』
多くの人は、まちおこしや商店街の活性化という話になると、大きなことを考え、大きなことをしなければ変わらないのではないか、と思ってしまいます。何億という予算をつけて、大規模な改装を重ね、大きな建物を作ろうとする。それが「大きな物語」。
最初は、自分以外、たった2,3人しか集まらないときだってあります。それでも、楽しいから、何回も何回も、淡々と続けいくのです。そして、自分の思いを語っていく。それが「小さな物語」。そして、それがサードプレイスとなるのです。まちおこしや商店街の活性化も、まさに商店主が自分の店をサードプレイスにしようと考えることからすべてが始まります。
また、「越境学習」とは石山氏の提唱した概念で、「自分にとってのホームとアウェイを行き来することによる学び」と定義しています。そして、越境学習が、今、企業の 人材育成に関わる人たちの間で注目を集めています(経済産業省のホームページ「越境学習によるVUCA時代の企業人材育成」に掲載されています)。
『職場を離れて留学をしたり、大企業勤務の人がベンチャー企業やNPO法人で働いたりすることはもちろん、仕事を続けながらもボランティアやプロボノ(自身のビジネススキルを活かして行うボランティア)、副業、複業、異業種の勉強会に参加することもまた越境学習と呼ばれています。』
そして、自分の居心地のいいコンフォートゾーンを抜け、ホームとアウェイを行き来し、学びを深めるためにも、サードプレイスは重要な概念であり、越境学習の場ともなります。
いまや、世界の中でも学ばない国の筆頭となってしまった日本。新たな知識や学びを得るため、是非、今回も多くの会員の皆様、そして、社員やご家族、ご友人もお連れ下さい。必ずや、経営や生き方の素晴らしいヒントが得られると思います。 |
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【日 時】 |
2023年8月29日(火)
講演会 17:30〜19:00
懇親会 19:00〜20:30 |
【場 所】 |
みしまプラザホテル
三島市本町14-31 電話 (055)972-2121 |
【講 師】 | 法政大学大学院政策創造研究科教授 石山恒貴 氏
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【演 題】 |
サードプレイスと関係人口の時代
〜〜越境学習が今後ますます必要となる〜〜 |
【講師略歴】
1964年新潟県生まれ。1988年に一橋大学社会学部卒業後、NEC、GEにおいて一貫して人事労務関係を担当。
バイオ・ラッド ラボラトリーズ社の執行役員人事総務部長を経て、法政大学大学院政策創造研究科教授。越境的学習、キャリア開発、人的資源管理等が研究領域。人材育成学会理事、NPOキャリア権推進ネットワーク授業開発委員長、一般社団法人ソーシャリスト21st理事、一般社団法人全国産業人能力開発団体連合会特別会員。2006年 産業能率大学大学院経営情報学研究科経営情報学専攻修士課程修了。2012年 法政大学大学院政策創造研究科政策創造専攻博士後期課程修了、博士(政策学)。 |
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